オイダスのようなオルリスタット製剤と同じく、古くから肥満治療に用いられているサノレックス。このページでは、2剤の特徴や肥満治療における併用のメリット・デメリットを紹介します。
また、サノレックス単体についての情報も詳しく掘り下げます。使用を検討している方は事前に確認しておきましょう。
2剤の特徴を比較
オイダスとサノレックスの有効成分は、それぞれ異なる機序で作用します。以下に、それぞれの特徴を簡単に説明します。
オイダス(オルリスタット)
オイダスは肥満治療および体重管理に使用されます。高脂肪の食事を制限されている、脂質の取り過ぎが気になっている方に向いています。
オイダスの主な効果は、食事から摂取される脂肪の吸収を減少させることによるカロリーコントロールです。
脂肪分解酵素であるリパーゼの活性を抑制し、脂肪の吸収を阻害します。これにより、体外に排泄される脂肪の割合が増加し、摂取された脂肪が一部排除されます。
サノレックス(マジンドール)
サノレックスは主に短期の肥満治療の一環として使用される食欲抑制薬です。食欲が強く、それが体重管理に影響する人や、短期的なダイエットが必要な人に向いています。
サノレックスの主な効果は、食欲の抑制と同時に、エネルギーの使い方を促進することによる摂取カロリーの削減です。
満腹感を向上させ、広範なカロリー制限を可能にします。中枢神経系に影響を与え、食欲を抑制します。また、新陳代謝を活発になりエネルギー消費の増加も期待できます。
2剤の併用について
肥満治療において、医師の判断によりオルリスタット製剤とサノレックスは併用されるケースがあります。ここでは、肥満治療におけるオルリスタット製剤とサノレックスを併用するメリット・デメリットを紹介します。
まずメリットについてですが、極めて強力なダイエット補助効果が見込めます。オルリスタット製剤は脂肪の吸収を抑制し、サノレックスは食欲を抑える作用があります。両者を併用することで、食事のカロリーコントロールを楽に行えます。
その一方で、2剤を併用することで、副作用や体調不良のリスク増加というデメリットがあります。特に注意が必要なのは睡眠障害や精神状態による重大な健康被害です。短期間で急激に臓器の働きや体重が変化してしまうことで、様々な不調を招く可能性が高まります。
サノレックスが注目される理由
日本国内においては、2023年にアライというオルリスタット製剤がダイレクトOTCとして承認されるまで、サノレックスは日本で唯一承認された肥満治療薬という位置づけでした。
サノレックスは、食欲を抑制する働きから、高度肥満治療において効果的な選択肢となっています。
サノレックスによって食事制限にかかるストレスを軽減することは、カロリーコントロールにおいて非常に効果的です。
少ない食事量でも満腹感を得られやすくなることは、食欲抑制剤であるサノレックスならではの利点と言えるでしょう。
糖質や脂質といった栄養素の種類を選ばずカロリー制限できる点も、サノレックスが注目される大きな一因となっています。
サノレックスの服用方法
サノレックスを最大限に効果的に利用するためには、医師の指導による服用方法を守ることが大切です。下記の服用方法は、成人を対象とした一般的な用法用量です。
通常、成人は1回1錠(主成分として0.5mg)を1日1回昼食前に服用します。 1日の最高服用量は3錠(1.5mg)までです。 この場合は1日2〜3回に分けて食前に服用します。
1日に摂取するサノレックスの最大量は3錠までと定められています。できるだけ最小有効量を使用し、慎重に服用することが推奨されます。医師に相談のうえ服用回数を調節しましょう。
サノレックスは通常、最大で3か月までの期間で飲み続けることが許可されています。この期間内に効果が感じられない場合は、内服を中止することが勧められています。サノレックスを使い始めて1か月以内に効果が見られない場合は、内服を中止すべきとされています。
サノレックスの持続時間
サノレックスの添付文書によると、「最高血漿中濃度は投与2時間後に得られ、その値は約2.81ng/mLであった。また、血漿中半減期は約9時間であった」とされています。これは薬の効果が体内でどれくらい維持されるかを示す指標であり、食欲抑制の効果が比較的長時間続くことを示唆しています。
血中濃度の推移は、サノレックスの効果は内服後2時間ほどでピークに達し、内服後9時間ほどで半減することを示しています。
食欲を抑える効果を引き出すには、食事を摂る2時間前の内服が最も効果的と考えられます。例えば、11時ごろに内服すると、20時頃まで効果が続き、食欲抑制効果が最大限に引き出されるわけです。
ただし、薬の効き方には個人差があるため、同じように服用しても個々の体質や生活習慣によって変化が見られることがあります。食欲に変化が感じられない場合は、医師に相談することが大切です。
サノレックスの副作用
サノレックスの代表的な副作用として下記の内容が挙げられます。医師のガイダンスを得ながら、慎重に利用しましょう。
睡眠障害に要注意
サノレックスが中枢神経に作用するため、眠気や覚醒を引き起こす可能性があります。特に運転や重要な会議前には内服を控え、用法に従って昼食前に摂取することが重要です。
精神状態の変化に警戒
サノレックスは向精神薬に分類され、精神に作用するため、抑うつや興奮状態を引き起こす可能性があります。精神病の既往がある場合は注意が必要で、医師の指示に従って内服する必要があります。サノレックスの過剰摂取や長期間内服すると依存症状を引き起こすリスクが高まるので要注意です。
便秘のリスク
サノレックス自体が便秘を引き起こすものではありませんが、ダイエット中に摂取することで食事の量が減少し、便秘になりやすくなります。適切な水分補給と食物繊維の摂取に心がけましょう。
サノレックスと運動の相性
サノレックスを利用する際に運動を組み合わせることで、より健康的で持続可能な体重管理が可能です。
軽い有酸素運動と好相性
サノレックスとの相性が良いのは、ウォーキングなど低強度の運動です。手軽で誰でも始めやすく、食欲抑制と組み合わせて、より効果的なダイエットや体重管理が期待できます。毎日の習慣として取り入れることで、新陳代謝を促進し体脂肪の燃焼を助けます。
高強度な運動のリスク
サノレックスを利用している場合、高強度な筋トレや急激な運動は控えるべきです。これらの運動は、血圧や心拍数が上昇する可能性があり、サノレックスの副作用を増幅させる可能性があります。