オイダスの力強い減量効果は、その中心にオルリスタットという成分があります。このページでは、オルリスタットの薬物動態について解説します。
吸収、体内での分布、代謝、排泄経路といった流れで、体内での具体的な動きに迫ります。オイダスが体内でどのように作用し、減量をサポートするのかを理解しましょう。
血中濃度と吸収の微量性
オルリスタットの体内での動きや代謝の過程といった、薬物の吸収や分布に関する情報が得るための研究が行われました。研究結果によると、オルリスタットは体内への吸収が非常に少ないことがわかっています。
研究内容は360mgの14C-オルリスタット(14Cは炭素の同位体)を経口摂取した後で血漿中の放射能を測定するというものです。血漿中の放射能は摂取した約8時間後に最も高くなることが確認されました。
測定によって検出されたオルリスタットの量は極めてわずかで(<5ng/mL)、治療研究では血漿中のオルリスタットがほとんど検出されず、濃度も非常に低い(<10ng/mLまたは0.02μM)ことが分かっています。
これらの結果は、オルリスタットを経口摂取しても、ほとんど体内に蓄積しないことを示しています。ラットとイヌを対象とした動物実験においても、経口摂取したオルリスタットの体内への取り込みが非常にわずかであることが確認されました。
赤血球への移行は少ない
オルリスタットはin vitro(試験管内)で、血漿蛋白と99%以上結合しました。この結合の大部分は、主にリポ蛋白とアルブミンといった血漿蛋白によって行われたことが確認されています。
また、オルリスタットは血液中で主に特定の蛋白質と結びつくことで、赤血球への移行はほとんど発生しないことも示されました。
オルリスタットが赤血球への移行が最小限であることは、血中での分布が均等であり、目標組織に到達しやすい特性を持つことを示しています。
こうした特性から、オルリスタットの作用範囲は限定的で、全身性の副作用が起こりづらいと考えられています。
消化管での代謝について
動物を対象とした実験データの結果から、オルリスタットの主な代謝場所は消化管壁内であると考えられています。
肥満患者を対象とした別の試験では、代謝物の内容も特定されています。特定された代謝物は、M1(4員ラクトン環が加水分解されたもの)とM3(M1からN-ホルミルロイシン部分が切断されたもの)です。血漿中の総放射能の約42%を占めていたことが分かっています。
M1とM3はリパーゼ阻害活性が非常に弱いことも分かっています。具体的には、M1はオルリスタットの1000分の1、M3は2500分の1と極めて低レベルで、薬理学的にはほとんど影響がないとされています。
一次代謝物であるM1は短い半減期(約3時間)を持ち、二次代謝物であるM3は半減期が長い(約13.5時間)ことも確認されました。
投与量の排泄経路を辿る
オルリスタットの主要な排泄経路は糞便であり、投与量の約97%が未変化体として排泄されることが確認されています。腎臓を経由した排泄量はごく僅かで、完全排泄(糞便+尿中)されるまで3〜5日ほどかかることも確認されています。
オルリスタットの体内動態は、標準体重の被験者と肥満の被験者の間で類似してることも確認されています。これは、排泄プロセスが体重によらず一貫して行われることが示されています。
オルリスタットの排泄経路に関わる研究結果から、腎臓への大きな負担をかけることなく消化管を介して短期間で排泄されることがわかります。
薬物動態まとめ
オルリスタットは赤血球中にほとんど移行しないことが分かっており、全身性のトラブルが起こりにくいことが示されています。
主だった代謝場所は消化管であり、有益な薬理作用が発揮される場所も極めて限定的です。排泄経路は糞便であり、腎臓にはほどんと負担がかからないことも分かっています。
3〜5日という短い期間で完全に排泄されることから、継続服用による体内への有害な蓄積の心配も少ないと考えられます。